文章力をじっくり育てる、ほぼ日手帳の使い方。

ずっと使っている手帳があります。

ふつう、ほぼ日手帳は1年ぽっきりで使い切るものですが、手元の1冊は気がつけば年を跨いで8年近く使い続けてることに気が付きました。

スタンダードな手帳の使い方ではないけれど、少しずつ埋めていく過程も、書いたページを読み返すのも楽しく、書き続けるほどに幸せな気持ちが増していくので、紹介したいと思います。

それは、「ことば集め手帳」として使うこと。

読書をしていて、ふと心に触れる言葉を見つけるたびに、この手帳を取り出し、好きな言葉や文章を書き写しています。

ほぼ日手帳は、自分にとっては少し高級品で、何年もずっとだいじに愛用することはできないかと考えたときにこの使い方を思いつきました。

ことば集め手帳をつけるメリット。

ほぼ日手帳に使われている、トモエリバーの紙は薄いのに非常に丈夫です。

8年前の手帳もいまだにぴんぴんしておりますし、立派な専用のカバーも付けることができるので、何年もかけてのんびり使うのには、うってつけです。

もともと、すきな文章を手元にあつめて、いつでも読み返せるようにしたいという気持ちで始めたこの手帳でしたが、使いこむほどに「いいなあ」「続けていてよかったなあ」と思うことが多くなりました。

一冊の手帳を育てていく楽しみを味わうことができる。

何年もかけてゆっくりゆっくり埋めていくこの手帳には、お気に入りの本の、一番おいしいところばかりが並んでいくので、ページがうまるほどにかけがえのない一冊が出来てゆきます。読み返すときにも、自分の過去の日記を読むような恥ずかしさは無く、ただただ好きのかたまりに耽溺することができます。

(また、白紙ページに挫折しがちな、難攻不落のほぼ日手帳が、この使い方ならば、いつの日か必ず自分の字でびっしりと埋めることが可能です。)

文章力アップの助けになる。

自分は一体、どんな文章が好きなのか。

今まではっきりと答えが出せずにおりましたが、この手帳を書き始めてからはそれが少しだけ、分かるようになりました。採集した言葉をながめ、どの単語、どの比喩に強く惹かれたのか知ることは自分が文章を書く上でも役に立っています。

文章のテンポ、好みの柔らかさ、もしくは堅さ。カタカナの使い方のハッとするようなセンス。まるいひらがな使い。切り取った文たちを、そのまま真似ることはもちろんできませんが、抽出した要素には影響を受けているものがたくさんあります。

挫折した使いかけの手帳を、再利用することができる。

もとの日付のいっさいを無視して書くため、日が浅いうちに書きやめてしまったほぼ日手帳が家にありましたら、いつでもことば集め手帳として、復活させることができます。手帳の第二の活躍の場に、いかがでしょうか。

ほぼ日方眼ノートの使いみちにもぴったり。

2019年5月末に発売された「ほぼ日の方眼ノート」こちらは、日付のない全ページ方眼のページがつづくすっきりとしたノートです。単体でもカバーにセットできますし、すでにお使いのほぼ日手帳と一緒にカバーに収めることもできます。サブノートで気軽に言葉集めをしたいときに、おすすめです。

ことば集め手帳の書き方。

ミナ・ペルホネンのカバー。ほんのり黄ばんできたけれど、まだまだ元気です。

読書をしていてハッとする表現を見つけたときや、いつかの自分に役に立ちそうな一文を見つけたときに、おもむろにペンを取り出して書き写しています。手帳にもともと書いてある日付たちは、失敬ながらえいっと無視して、以下の内容を書き写しています。

  • 西暦、今日の日付。
  • 本のタイトル
  • 作者
  • 文章のとくに気に入ったところを、好きなだけ。

この手帳を使いはじめた頃は、ただただ好きな文章をすくい取ることだけに夢中で、タイトルや、作者名が抜け落ちてる記述がいくつもありました。

ただ、書き溜めていくうちに、きっと再読したくなる日が来ます。本を探すことが非常に困難になってしまうので、かならずタイトルと作者名はメモすることを、おすすめいたします。

これまでメモしたページたち。

こんな感じでメモしていました。

野呂邦暢随筆選『夕暮の緑の光』より

この当時、物語の書き出しに興味があったようで、「出」のマークは書き出しの一文の抜き書きです。

朝吹 真理子『きことわ』より

この当時愛用していたペン。インクの色が大好きで、使うたびに浮かれていたことまで蘇ってきます。

フランシス・ハーディング『カッコーの歌』より

これは最近の写し書き。冷えびえとした温度描写や、朝の風景描写が美しくてペンを取りました。

この手帳が役にたつとき。

長く愛用し続けていると、思わぬかたちで手帳がたすけてくれる瞬間があります。

文章が書けないときの、カンフル剤として

文を書きたいのに、書けない!ともがくようなことが日々あります。そういうときに、この手帳を取り出して頁を繰れば、ごろっとした好きな文のかたまりにいつでも触れることができます。

憧れや、沸き立つ気持ちを油にして、ふたたび書き始めることが出来たことは、両手の指では足りない回数ありました。きっとこれからもお世話になります。

何を読もうか迷ったときの再読リストとして

わたしは毎年夏は、あたらしい本を読むのではなく、いままで読んだ本を再読する時間にしています。

そのときは必ず、この手帳にメモしてきた作品をいくつか選んでいます。まったく同じ場所で心がふるえることもあれば、全く理解していなかった場所がほころぶように見えてくることもあり、定点観測のように楽しむことができます。

ことば集め手帳のたのしみ

読み返すときの、幸せな気持ち。

ふりかえって読むと、自分の好きな本のなかの、とくに大好きなところがぎゅっと抽出されているので、どこから読み返しても楽しく、宝物を見つめるような気持ちになれます。

もうこの世にいない文豪の作品も、じぶんよりも年若い作家さんの作品も、並列にならぶページはたまたま偶然の読み順でも、自分で編纂した世界でひとつのアンソロジーのようで、書くほどに大切な一冊になっていきます。

この手帳でやってみたいこと。

今まで、この手帳を使うときは、目のまえの素敵な文章をつかまえることに必死で、手帳の見た目をととのえたり、筆記用具をえらぶ余裕がありませんでした。

でも、本にぴったりのとっておきのインクを選んで、お気に入りの万年筆で書き移してみたり、きれいな日付シートで飾ったり、電車の中で読んだ本の文章をメモした、ちぎれたメモ帳をそのままコラージュしたり、思いのままに楽しく使うことも、今後していきたいです。

さいごに

ゆっくりゆっくり埋めていくこの手帳に、いつかすべてのページにびっしり文字が入る日を思うと、うっとりするような心地になります。

新しいほぼ日手帳の封をきるとき、きっと誰もが夢みる「自分の文字で、はじからはじまで埋めてみたい」という夢を、何年もかけてでも成就させたい方に、こっそりと、この使い方をおすすめします。

4 COMMENTS

キヨ

スマホを使うようになって紙の手帳を使う機会がずいぶん減っても、やっぱり店頭で見るとときめいて購入してしまいます。なので、ほとんど予定の書き込まれないきれいな手帳のまま1年を終えてしまっていたのですが、こういった使い方もあることに目から鱗が落ちました。
今までの何年分かの手帳も、第二の人生?を歩むことができそうです。

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たけのこスカーフ

◎キヨさん
コメントありがとうございます。わたしも、ついつい手帳を何冊も買って、持て余してしまうことが毎年のようにあるので、とてもよくわかります!

もしこの記事をきっかけに、きれいなまま退役してしまった手帳を活用していただけたなら、とてもとてもうれしいです〜。

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びーの

手帳と言っていいかはわからないのですが、2016年に買った新潮文庫の『マイブック』を同じような用途で使っていました。最初は日付だけがぽつんと書かれた白紙の1ページを、律儀に日記や愚痴で埋めていたのですが、案の定続かず真っ白真っ白…。しばらくして、読書記録や映画の記録に使い始めました(日付は見ないふり。私は字は汚いし飽き性なので、ページが真っ黒になったと思えば今度は真っ白のすかすかだったりはするのですが、上質でさらりとした白いページの上にペン先を滑らせる時間はとびきり幸せなきもちになれます。2016年のマイブックは去年ごろに使い切ってしまって、今はちくま文庫の『文庫手帳』とLIFEノートを使っています。文庫手帳は日記と"ことば集め"、両方やっちゃってます(1日あたりが小さいので、字は米粒の半分くらいのサイズです)。それの清書だとか、ちょっと気取って文字を書きたいときはLIFEノートに…。ほぼ日手帳、素敵ですね!今のこれを使い切ったら手を出してみようかな。

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たけのこスカーフ

◎びーのさん
コメントありがとうございます!(お返事にお時間をいただいてしまって、ごめんなさい)マイブック、甲斐みのりさんが毎年ずっと使っていらっしゃるのがすてきで、憧れている手帳でした。読書記録や、映画の記録、あとから読み返すのがたのしくなりそうですね。

まっしろページにすこし背筋を伸ばすような気持ちで、書きつけるよろこびが文章の中にあらわれていて、びーのさんのコメントを読んだ瞬間に、猛烈にノートにもりもり文字を書きたくなってしまいました。

ことば集めと、日記が混じった手帳も、なんてすてきなんでしょう。その言葉を書いたときに何をしていたか知ることができたら、すてきなアーカイブになりますね。縦横無尽に帳面を楽しんでいらっしゃるところ、とてもすてきです。また遊びにいらしてください。

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