続・キャプテン翼でメチャクチャになってしまった人間の話

この文章は、ぽっぽアドベント2020の企画に寄せて書かせていただいています。8日目担当の、たけのこスカーフと申します。

参考 変わった/変わらなかったこと Advent Calendar 2020“ADVENTAR”

同日担当の方々は、K i Eさん、ロカさんです!

私がぽっぽアドベントという、はとさん(@810ibara)主宰のすてきな企画を見つけたのは、2019年の、年の瀬でした。TLにひょっこりと流れてきた、たっぷりとしたエッセイを、あたたかい布団にくるまりながら、ひとつひとつ読ませてもらう日々が本当に楽しかったのです。

誰かが何かに首ったけになるところ。好きなものをすきだ!!と言語化される突風が吹くような一瞬。照れくさそうに語られる、他人とは思えない気持ち。「分かるだろ?同志。」という船乗りたちの熱い目くばせ。孤独な暗闇でそっと手を握ってもらったような、静かな連帯。詳細なバックボーンを知らずとも、その焦げ付かんばかりの魂の座標に憧れを抱いたものです。(こんなふうに、好きなものにメチャクチャになってみたい!)

念願かなって私は今年の夏、ある作品にこっぱ微塵になりました。今までに味わったことのないような感情の暴走機関車にぐいんぐいんに振り回され、常時が熱に浮かされたように、ぼんやりした状態になりました。手汗がずっと滲んでいるその心地を、夏にやっとの思いで言語化したのがこちらの記事です。(元記事のnoteから移設しました)

キャプテン翼でメチャクチャになってしまった人間の話

これを書いたとき、わたしは真冬に読んだぽっぽアドベントの数々のエッセイを思い浮かべていました。あこがれの企画の末席に、こっそり潜り込んだような気持ちでいたので、ひょんな事から今年は参加することが出来てとてもうれしいです。はとさん、ありがとうございます!!

今年のテーマは「変わった/変わらなかったこと」

わたしが一陣の風によってがらりと変わったこと。それからどうしようもなく変わってない部分について語りたいと思います。

その後の沼の状況

夏のまっただなか、私はキャプテン翼に首までドボンとはまりました。アニメを一通り観た後に、発売されたばかりのゲームを買い、1人きりの同志と知り合い、自分のゲームの下手さを嘆きながら来る日も練習し、未だ持って冷めやらぬ温度が、沼を灼熱に煮たたせている状態です。

夏からの変化はささやかなものですが、原作(愛蔵版)を購入しました。

家に宝物殿ができてしまいました。この光景が視界に入る喜びよ。ブックエンドの牛たちも、最高の漫画をはさむことができて喜んでることでしょう。バスキアのポストカードもとっても嬉しそう。

原作の初見は人生で一回こっきりなので、どうしても慌ただしい日々に読むことが出来ず、お正月に何もせず、おやつとワインを好きなだけ用意して、これだけ読んで暮らす黄金の日々を設けることを決めております。

1冊だけ、同志と背中をさすりあいながら読んだのですが、たった一冊読むのに4時間かかりましたし、なんだかずっと泣けて泣けて仕方なかった。なんでしょう、この気持ち。いままで知らずに生きてきてしまった。

ほんの少し読んだだけで心が柔らかいランドセル世代に戻ってしまったし、血液がぐらぐら沸騰して大変でしたので、もはや(読みたくない)という気持ちにすらなっています。嘘!!読みたいに決まってる!!謹んで楽しみにしております。

8月末に発売されたゲーム「キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS」も継続しており、ほそぼそと毎日小一時間プレイしています。変化したことがあるとすれば、Switchのプロコンを買いました。

こちらを導入し、操作性が爆上がりしました。おぼつかない手つきでレバーをガチャガチャやっていた私はもういません。優しい先輩のアドバイスを頭では理解しても、手元が全くついていかなかった悔しさも、今は懐かしい思い出です。10日近く通いつめても勝てなかった決勝のドイツに、今では無失点で勝てるようになりました。

大好きな大友中学のシナリオチャレンジ(そこそこ難関)も達成しました。これが本当に、原作の展開を熱くリベンジするような最高のシナリオで、個人的にお歳暮をお送りしたい気持ちで一杯です。RONCスタッフの皆様、ありがとうございます!!


よかったよー。よかったよー。

このゲームは、本当にすみずみにまで愛と魂が込められていて、今年買ってよかったもの第1位です。何度でも遊べてしまう設計がにくい。こんなに!?ってくらい丁寧なアプデもしてくださり、操作に支障が出るバグも改修されました。キャプテン翼ミリしらで、このゲームから履修した人も身近にいるので、全ての人類におすすめしたいです。

それからささやかなインテリアがひとつ加わりました。(キャプテン翼マガジンの定期購読の特典)岬くん、意外と野太いサインで素敵ですよね。一時期は玄関に飾っていたのですが、日焼けを気にした結果、リビングの角が定位置となりました。岬くんファンの同居人も喜んでおり、宝です。

沼と生活の両立問題

好きな作品がある。ということは、あたたかくまぶしい自分だけのシェルターを心の内に設置するような心地でした。日々の幸福度は間違いなくあがったものの、無視できない不具合が発生しておりました。

深刻にメッチャ気が散っている

脳味噌の大部分が全自動で好き作品のことを考えてしまう。試合にも勝たなくちゃいけないし、ポジションの検討もしたい。サッカーの戦術も詳しくなりたいし、好きなキャラクターのことなんて、永遠に考えていられる。脆弱な自分のシステムは速攻で落ちて、もう家事にも仕事にも使うメモリが残っておらず、なんだかずっとぼんやりしているのでした。集中力がすっかり抜け落ちてる状態。皆さまがどうやって、生活と沼を維持してるのか心底不思議でした。

体力なさすぎ問題

日々の活力に間違いなくなるものの、今までなかった「寝る前のゲームやり」などのタスクがドン!とかたまりで入ってくるので、就寝時刻も遅くなり、なんだか常に眠たい状態になりました。筋トレは続けているものの、若干腹が割れたところで、眠さは拭いされず、朝も起きられず、いつもうっすら疲れていました。

なんだかずっと眠くてぼんやりしている!こんな自分では、あんなにも頑張っているキャラクター達にどうして顔向けができましょうか。

仕事をしながら、適度に好きなものを楽しみ、自分にちょうどいいサイズで沼を楽しむにはどうしたらいいのか。ささやかな対策をたてて、実行してみました。

家事するときには、ラジオを聞くようにしてみた。

どうやら自分はマルチタスクがとても苦手なようで、ひとつのことをするとき、思考を遮断するためにラジオを聞くようにしました。ちょうど10分くらいの番組を聞きながらぐんぐん家事を片付けると、楽しいしとてもはかどる。今までラジオは散歩をするときにのみ使っていたけど、これはちょっといいかんじです。

ラジオクラウド

ラジオクラウド

Hakuhodo DY media partners Inc.無料posted withアプリーチ

radikoの有料地域なので、こちらのアプリを愛用してます。「ジェーン・スー 生活は踊る」「アフター6ジャンクション」は前身の番組から長く聞いてるけれど、思えば家事しながら聞いたことはなかったので、新鮮なきもちです。

それからSpotifyを音楽聴くために愛用しているのですが、Podcast系の番組も充実しているのでちょこちょこ聞いております。

北欧暮らしの道具店「チャポンと行こう」
ほのぼの優しいラジオと思いきや、人生の話になると灼熱の熱湯になったり、たまに破天荒な暮らしテクが披露されるところが大好き。(例:かごの手入れ→風神のように息で吹き飛ばす)

長田杏奈さん「なんかなんかコスメ」
コスメについてのお話。ゆったりした長田さんの口調にひたすらほっとしてしまいます。たまーーに一つだけおすすめアイテムを買ってみてほくほくしてます。

ラモーナさん「ラモーナの部屋」
ラモーナさんの声と、知的なトークがだいすき。1つ10分くらいなので、家事のおともに最高にフィットいたします。

仕事用に集中力アプリをいれてみた。

集中

集中

bondavi Inc.無料posted withアプリーチ

このアプリのユーモアと、実用性のバランスがとても良くて愛用しています。25分集中して、5分休むリズムがちょうどいい。この記事を書くときも使いました。すごくはかどる。

25分。それでもダメなら10分だけでも「おっ 集中できたじゃん」という気持ちを積み重ねることが大事なんですね。仕事の深刻な集中出来なさは、これで大分解消されました。詳しく説明されたすてきな記事がありましたので、ぜひご覧ください。

参考 集中アプリがすごすぎて、「ポモドーロテクニック信じてなくてごめん」ってなった話 “seramayo.com”

リングフィットアドベンチャーの導入

さらにプレイするゲームを増やしてどうする!と思ったのですが、すぐにへろへろになってしまう体力をなんとかしたいため、細々と続けております。リングフィットの輪っかは完全にたんすのこやしになっていたのですが、発掘して、1日一回真面目にやっています。朝起きて早めに、体をひと動かししておくと、謎の重だるい現象から解放されることを知りました。

まだまだ修行中ではありますが、沼と生活をいいかんじに両立することをがんばりたい。出来る範囲で、推しに恥じない自分でおりたいです。

推しのグッズこの世にない問題

わたしのキャプテン翼における推しキャラクターは、浦辺反次先輩です。

グッズが……1つたりとも無いんです。この現実を受け入れるには、なかなかに困難なものがありました。私のなかでは世界の中心なのですが、遅れてハマったせいか、現状購入できる商品が皆無なのです。アクキーでもアクスタでもクリアファイルでもいい。飴ちゃんの紙だっていいんです。何かほんの一つだけでもあったら、どんなにか幸福かと思うのですが、存在しないものは仕方がありません。かくなる上は……。

こんなことは、全てのオタクがやっていることなので、わざわざ言うのも恐縮なのですが、AirPodsのケースにに推しの誕生日を刻印してみることで、一筋の心の安寧を得ました。あまりにも二進法である並びにうっとりすることで、なんとか日々をやりすごしています。

さらに、どうしてもグッズが無いのならば、既存の商品に推しの概念を見出していく。という手段があることを知りました。例えばわたしが推している大友中学校のユニフォームは、灰色です。

①目測で、推定のDIC指定をします。

 

②対象物を見つけ、近い色のチップを当てます。

ここまで同じ色ならば、この湯たんぽはもう、大友中のグッズと言えるのでは…?そう思い込むことによって、なんだかこの柄もサッカーゴールに見えてきましたし、暖かさも増すというもの。冬のQOLが一気に高まっております。

そうして集まってきた灰色の私物たちは、甘めに四捨五入すれば、ほぼ大友中のグッズのような気がいたしますし、日々使うものが推しの色というだけで扱う手つきも丁寧になるというもの。

それでも、どうしても狂おしくグッズがほしい!!!という気持ちで心が闇に塗りつぶされそうなときもあります。そういうときには、私は「超絶な早起き」をすることにしています。

浦辺先輩の実家は豆腐屋さんなので、朝がとてもとても早いのです。グッズへの渇望で精神がいっぱいになりかけたら、太陽の登りきらない朝方に起きることで、時間帯という概念でもって推しと同じ空気を吸うことができるわけです。

冬の朝方はそれは静かで、窓をのぞけばほぼ真夜中。この中で顔を洗って、朝ごはんを食べ、身支度をしてから荷物を持ち、朝練へと駆けていくキャプテンである推しのことを思うと、寒くてまるまった背筋も伸びるというもの。

本当は毎日この時刻に起きたいけれど、なかなか難しいので、2週に一回程度、早朝に深呼吸して洗濯物を干してみたり、近所を散歩してみたりして「時間帯」を吸っています。

生きていれば、人生のどこかで推しのグッズにお目にかかる日があるかもしれませんので、泣けなしのライフハックで日々を食いつないで行こうとおもいます。


「時間帯を吸う」と仙人のようなことを書いた途端、なんとなんと、毎日プレイしているキャプテン翼のゲームに悲願も悲願の、大友中学のルートが追加されてしまいました。推しの学校に入学出来るんです。そんなことあります?もう贅沢何も言いません!!!

夢にまでみた夢よ!!!!!!

具体的に申しますと、こちらの学校の1年生として、自分のオリジナルのキャラクターをつくって(!?)中1の男子として試合に参加することができるのです。幕間では、一緒に練習もするし、会話もするし、片付けも手伝うし、名前を呼ばれる。浦辺先輩が、本当のほんとうに先輩になってしまった。

いままで(こんな練習をしてるのかな)とか(どんなふうにチームをまとめてるのかな)と想像するしかなかった、試合以外の大友中学の様子がどんどん開陳されるこの上無いよろこび。ストーリーも「原作のここ、フィードバックします!?」みたいな愛に満ちており、感激のあまり毎晩泣き疲れて眠るようになってしまいました。嬉しくて昼ごはんが喉を通らずバナナしか食べられない日もありました……。全体重を預けられるRONCへの厚い信頼。わたしは幸せです。何周でもプレイして噛み締めようと思います。

火を焚べあう同志

私はもとより、好きなものを共有して分かち合うより、自分1人で孤独に趣味に打ち込みたいタイプだと思っていました。しかし同時期にゲームを始めた人間と、行きがかり上、情報と情熱を共有する同志になってしまいました。

彼女はユーモアを吐かないと死ぬ生き物で、生真面目な自分からすると破天荒のかたまりでした。しょっちゅう私をぎょっとさせ、隙あらばギャフンと言わせ、しかし面白みと愛嬌で全部をチャラにする能力に長けておりました。周りにいないタイプの人間との出会いに(おもしれーフォロワー)と思ってました。

そんな折に、わたしは実家のねこを立て続けに見送りました。16歳と14歳。2匹とも治る見込みのない病気でした。猫を迎えるものの義務だと理解していたし、覚悟もしていました。最期を見送った後は自分でも出来る限りのケアと気晴らしをして、しばらくは普通に生活を送れていたのですが、あるとき蛇口のように涙が止まらなくなり、生活がだめになりました。

胃痛で眠れず、丸まってやりすごしました。Twitterに初めて鍵をかけて、自分の心の表面に無駄に引っ掻き傷を付ける情報を遮断しました。ふざけあっていたDMもうまく送れなくなり、もしかするとこのままフェードアウトしてしまうのかもしれないと思いました。

そのときにいつもと同じようなメッセージが届き、だけどその中に不器用な遠慮が滲んでいました。別に直接的な慰めや、優しい労りの言葉があったわけではありません。ただ、私のすきなキャラクターの、ごく些細な情報を何度も持って来るので、苦笑してしまいました。よく分からないけどこの人は、きっとこういう形で他人を気にかけるのだと思いました。

いまだに私はこのひとのことがさっぱり分からないし、大抵の瞬間は「?!」と思っているのですが、それでも万が一何か困った事があろうものならば、肩まで腕まくりして駆け付け連帯するんだと思います。

思えば、愛蔵版の購入も、Switchのプロコンも、リングフィットも、グッズの概念の見出しも。沼に入ってからのだいたいのことはこの人からの影響でしたので……。

「毎日が、全盛期。」

これは漫画家の久保ミツロウ先生のお言葉です。

久保先生が近年好きになった将棋の世界には、過去に数えきれないほど神がかった対戦があり、歴史があり、偉人がおりました。全ての全盛期をリアルタイムで見てみたかったそうです。

しかし今から全てを体験することが出来るということは、むしろ「毎日が全盛期」と思ったとのこと。

遅れて歴史あるコンテンツにはまった者として、こんなにも力がもらえる言葉がありましょうか。今から、過去の地層も、これからの展開も、ぜんぶ全部を摂取できることを千切れるほど幸せだと思いました。

今までどこか、自分が新参者であるという申し訳無さのような、謎の引け目を感じてしまっていたのですが、これからを楽しませていただく1ファンとして、堂々としていようと思いました。「毎日が全盛期」は無敵の言葉。消えない祝福をいただいた気持ちです。

(久保みねヒャダでこのお話をされた際に、ちらりと「今まで猫のことばかりツイートしてたひとがキャプ翼にはまった話」として触れてくださったので、とてもどきどきしました。)

以上が今年のわたしの変わったところ。

変わらなかったところは、相変わらず猫が何より一番なところだけです。どんなにゲームが盛り上がっていても、ねこが鳴いて呼ぶときには、試合途中でもすぐにやめることにしています。

残りの人生、わたしは丸々の時間を好きな作品にささげることも出来るけれど、猫と一緒にいられるのは人生のうちのほんの一瞬であるということを、ちぎれるほどに実感したのも今年でした。たった15年余りで長いお別れが来てしまう。撫でればあんなに柔らかい毛のままで。

これからも、毛の生き物のことを第一に考えながら、あたたかい沼で半身浴しつつ、よくわからない人をいなして、日々をどうにか生きていけたらと思います。

明日の記事は、
ユズシマさん:1つめ
村松 muramatsuさん:2つめ
茹田真子さん:3つめ
で読むことができます!たのしみです!!

(12/25日までぽっぽアドベントは続きます。たくさんの、すてきな文章に出会えますように!)