生きにくい日々にばしっと効く、火力強めのおすすめ本

最近、なんだかどうしようもなく、生きにくい。

図書館で並んでいたら、ご老人に理不尽にどつかれ、スーパーでおばさまにサンダルばきの足をぎゅっと踏まれ、駅の雑踏で屈強なサラリーマンの肩に薙ぎ倒される。石つぶてのような舌打ちにうつむきながら、息抜きにSNSを開けば、目を覆いたくなるようなニュース。

夏の真っ只中、汗みずくの帰り道、ぼんやりしてしまった。

みんなきっと、生きているのに精一杯なだけなんだろうけど、なんだろうこの気持ち。

苛烈なモヤモヤがたまってるとき。かたまりの氷をボリボリかじりたいような、どうしようもない気分のとき。

ガッと力強く肩を組んでくれるような、率直で格好良く、慈愛のこもった目くばせまでしてくれる最高の本たちをおすすめします。

最強最速のパンチラインで、身体の尊厳を叩き込んでくれるタフな本。

どうせカラダが目当てでしょ

王谷晶

以前昼休みに、twitterのタイムラインを見ていたら「全国民に、女性の胸が毎朝配布されたらいいのに」というツイートが転がってきた。(実際はもっとあけすけな言葉で)真面目な知人男性のつぶやきだった。

言語化しにくい気持ちにぶわっと覆われて、だけど、ポツリとこぼした(おそらく)冗談混じりのつぶやきに、「今のは聞き捨てならねえな」と胸ぐらを掴みにいくのも野暮かと思い、開きかけたリプライ欄を閉じた。

そういう類のうまく言えない気持ちに、きっちりカタを付けてくれるのがこの本です。

タフでブリリアントな胸ぐらの掴みっぷりに、喝采を送りながらこっそり涙も拭いてしまう。知らぬ間に没収されていた体の一部たちを、残らず取り返してもらった気分になる。それは尊厳だ。

爆笑しながら、なぜか涙もちょちょぎれてしまう、懐深い優しい本。真綿のような優しさじゃなくって、誰かが教室の隅でカーテンにくるまっていたら、泣かせた野郎をペンでぶちのめしてくれる、実弾のような優しさ。

もちろん、読者が知らぬ間にルッキズムに手を染めていたら、しっかりビンタもしてくれる。

この先きっと、何度も何度も読み返すけど、10年後に読み返したときの世界もまた、楽しみになる本でした。

どうせカラダが目当てでしょ

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いらないものを人生からパージして、身軽に生きるための処方箋。

40歳までにコレをやめる

岡田育

この本の見返しに「それをやらなくたって、死にゃあしない」と書いてあって、迷わず買いました。ぜったいにいい本だ!という予感が、ページをめくるにつれて確信に変わっていく喜び。

この本は岡田育さんが、これまでの人生で「やめてよかった」というものを、リストアップした本です。

自分に照らし合わせてみると、ギューギューに「やらねば」と思っていたことのなんと多いこと。

「やめる」という発想すら思いつかなかったことを、岡田さんが歯切れよくきっぱりと、習慣を断ち切るさまはとにかくすがすがしく、読みすすめるほどに自分の精神まで軽やかになっていく気がして来ます。

環境や、お財布の状況により、この本に掲載されてるものと、まったく同じものをやめることは出来ないけれど、それは全くOKで、自分なりの「しないことリスト」を考えてみるきっかけの本になりました。

いらないものはいらない!と思うことは指をバキバキ鳴らすような、爽快さがあってとても楽しい。まずは私も家計簿をつけることから、スパッとやめてみようと思います。

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ストレッチするように自尊心が育つ、本当に読みたかった美容本

美容は自尊心の筋トレ

長田杏奈

 

美容の本を買ったことは、これまでにも何度かありました。

そのたびに「すみません。違うんです!モテようとか1ミリも思ってません!みてくれをなんぼかマシにしたくて…」と、イマジナリー土下座を携えないとレジに持っていくことができませんでした。

この本は、美容に対峙するたびに、全自動で自虐を差し出してしまう性質を持った、私のような人間を力強くヨシヨシしてくれる本です。

美容の「び」の前の心の持ちよう、メイクやセルフケアに入る前の自尊心の育て方、ガチガチに凝り固まった先入観、強固に握りしめて離せない自己評価を、気どらない口調で解きほぐしてくれます。

もちろん、精神論だけではなく、美容のTIPSも使える要素をぎゅっと凝縮して書いてあります。それも、ものすごい高いハードルじゃなくて、気楽にすんなり試せそうなものばかり。

その欄を、気がついたらラインマーカーを引きながら読んでいた自分に気が付いて、にっこりしてしまいました。手帳には、いくつかこれから買いたいコスメまで、メモしてる!土下座も辞さない自虐の心は目を凝らさないと分からないくらいに、小さくなっていました。

自分主体のリラックスした気持ちでケアやメイクに向き合う勇気が湧いていることが、とびきり嬉しくなってしまう本でした。

美容は自尊心の筋トレ

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迷いも怯えも後悔も、全部が詰まったこの本の優しさ。

ストーカーとの七〇〇日戦争

内澤旬子

交際していた相手が、もしも別れ話をきっかけにストーカーに豹変してしまったらーーー?

読んでいるだけで、身も凍る思いにかられる、ご自身のストーカー被害を記録した、壮絶な実録ルポです。

脅迫の被害を訴えてからの、加害者からのがっくり来るようなメッセージ、執拗な2ちゃんねるへの書き込み。また警察や司法関係者との話が通じないもどかしさや、味方であるはずの立場の人に、寄り添ってもらえない孤独。

どんなにか恐いだろうに、「絶対にこの体験を書く。書かねば。」という、物書き魂がふつふつと燃えているのが目視されて胸が熱くなります。

続いてほしくないけれど、あとに続くであろう、被害者のためにも、声を出せる人間が声を出さなくてどうするのだ

と、心を奮い立たせる様子には、涙がこぼれる。「どうか、同じ楔は踏まないで!」と、同じ被害に困ってる人に残した、血のにじむようなアドバイスがあまりにも優しい……!!

とてつもないヘビーな内容にもかかわらず、文体は軽妙ですらあり、とても読みやすいんです。内澤さんの飾らない人柄や、ヤギのカヨたちへの愛には何度もにっこりしてしまいました。

今回知ったことは、ストーカーは依存性のある病気なので、治療の余地があるということ。どうかどうか、加害者の治療への理解がすすみ、被害者が心から安心して暮らせる日が来ますように。

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さいごに

心がもやもやしたり、カッカしてるとき、やわらかくて、ほわほわの言葉よりも火属性の本がてきめんに効くときがあります。

モヤモヤに焼かれて灰になってしまいそうなほど疲れているとき私は、勇気とガッツをくれる本を読んで、ひととき心をやすめています。今回ご紹介した4冊は、心からおすすめです。

心に消えないたいまつのような本を灯して、明日もどうか生き抜けますように。